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2012年3月24日 (土)

【原発 ザ・デイ・アフター】 『ブブカ』2011年6月号より転載。

本日(3/24)のトークショーに向けて、『ブブカ』2011年6月号より転載。

ケロッピー前田展「ホルマリン・スケープ」カフェ百日紅(03-3964-7547)にて。
3/24 19:00 - 徳野雅仁(イラストレーター、自然農法)、シギー吉田(写真家)、福田光睦(Modern Freaks主宰) and more....

【原発 ザ・デイ・アフター 僕らの“未来”を左右する 11の分岐点 RADIATION LEAKS !! 】

第1の分岐点
今だからわかる!! 地震当日、福島原発で何が起こったのか!?

311の地震、津波、原発事故、想定外の未曾有の大災害とはいえ、今こそ日本国の能力が試されている。それぞれの局面で瀬戸際の選択を迫られてきたが、最も批判が多いのが政府の初動対応の遅れ。その緊急時に何が起こったのか。まずは震災当日、福島原発にいた職員&作業員の多くは、地震と津波の壮絶な破壊力に職場放棄し逃亡したという。反原発を貫くジャーナリスト広瀬隆は、原発を自動車、東電をその運転手に例え、「壊れた車を運転手が修理するのは無理」と断言する。政府が東電に丸投げしたときから、負のスパイラルへの前兆はあったのだ。

第2の分岐点 
メルトダウン!! 海外メディアが報じた原発事故の危機!?

震災直後、日本のメディアですら情報が入らない状況下、海外メディアは日本政府や国内メディアが報じた事実情報だけから、すでにメルトダウンの可能性、緊急避難発動の必要性を指摘していた。アメリカは、原発事故が国際的な問題に発展することを予見し、翌12日には、空母ロナルド・レーガンを出動させ、原発用の冷却剤まで準備していた。それを即受け入れていればと思っても、あとの祭り。東電が海水注入やベント(爆発防止のための放射能放出)を躊躇している間に事態は悪化の一途を辿り、第1号機の水素爆発でその危機は決定的となった。

第3の分岐点 
菅直人!! 原発視察と第1号機水素爆発の因果関係!?

電力喪失で冷却機能を失い、暴走を続ける福島原発は翌12日には、第一原発、第二原発の計6基がコントロール不能に。原子力災害対策特別措置法に基づく日本初の原発緊急事態宣言が発令された状況下、無謀にも菅首相が福島原発を視察。そのため復旧作業は約8時間ストップ、現場を混乱させていたことは否定できない。国民への記者会見を予定したその日、午後3時30分頃、第1号機が水素爆発。続く14日には第3号機が大爆発して黒煙を上げ、15日には第2号機からも爆発音が響いた。この時点で「菅さんには無理」と誰かがちゃんと言って欲しかった。

第4の分岐点 
危機マニュアル!! “核戦争”では屋内待機は数日間!?

初動の遅れで最も問題視されているのが、原発事故の危機マニュアル。そういうものがしっかりと整備され、ちゃんと機能したのかは大きな疑問。海外政府の対応は速さはマニュアルあればこそ、アメリカは80km(50マイル)圏外退避、フランスは国外退去か国内南部への移動を勧告した。他国からの核攻撃まで想定すれば当然のこと。日本政府が安易に発した屋内退避も、大気中に放出された放射能が地面に落ちるのを待つ数日間が限界、10日を超えれば兵糧攻めも同然だ。あげくの果ての自主退避。マニュアルなしの危機管理ほど、被害を拡大するものはない。

第5の分岐点
プルサーマル!! 第3号機大爆発、本当にあった怖い話!?

「プルサーマル」という言葉は、日本だけで使われている和製英語。使用済み燃料から取り出したプルトニウムの再利用は「核燃料サイクル」と呼ばれる日本の国策。そのプルトニウムをウランと混ぜて作ったのがMOX燃料である。本来は高速増殖炉「もんじゅ」で使われるはずだったが、冷却用ナトリウム漏れ事故で大失敗。そこでMOX燃料を軽水炉である一般原子炉で使ってしまおうというのが「プルサーマル」利用だ。とはいえ、半減期2万4千年のプルトニウムは猛毒、そのMOX燃料を用いた第3号機の漏洩で事態の収束はますます困難になっている。

第6の分岐点
欲しいぞ!! ガイガーカウンター線量測定法大研究!?

原発事故発生直後、ジャーナリストの広河隆一は3台のガイガーカウンターを持って、福島入り、すべてのカウンターが振り切れた事実に愕然としたという。政府が正しい情報を発信してくれないなら、自衛するしかない。もしもこの先、再臨界大爆発となれば、福島から250km離れている東京にも、あっという間に猛毒放射能が降り注ぐ。アルファ線とベータ線が測れて、小型軽量で3万円くらいから。胸の高さだけではなく、地表の高さでも測ってみよう。食べ物の安全性の確認には有用ではないが、誰もがガイガーカウンターを携帯する日は近いのかも。

第7の分岐点
内部被爆!! 飲料水と食べ物の安全ラインはどこ!?

放射線を浴びる「外部被曝」と放射性物質が体内に入る「内部被曝」、どちらも怖いが、直接的な放射能被害を受けない地域でも、食べ物や飲み物を通じて体内に入る「内部被曝」から完全に逃げ切るのは難しい。3月17日、厚労省が急ごしらえで暫定基準値を設けたが、警告した翌日には撤回する曖昧さが混乱を招いた。大人よりも子供の方が、およそ千倍放射能の影響を受け易いというが、ほんの微量な「内部被曝」でも、カラダに蓄積し続ければ、癌や白血病の原因となる。これじゃ、安心して子供が育てることができないですよね、お母さん。

第8の分岐点
ロボット出動!! だが日本のロボは電気がないと動かず!?

こういうときこそ、日本の科学技術が誇るロボットで危機を脱して欲しい。だが、子供騙しのお友達ロボットは全く頼りにならない。ASIMOは500グラムまでしか持てないし、他のロボもkm単位の遠隔操作には非対応、どれも電力がないと動かない始末で、瓦礫が散乱した作業空間は無理。結局、米軍の軍用ロボ「タロン」「ドラゴン・ランナー」、アイロボット社の「パックボット」などが投入されることに。すでにアメリカの無人機「グルーバルホーク」や無人ヘリコプター「K-MAX」が貴重な映像を伝えており、ロボットにおいても日本の無能さを露呈。

第9の分岐点
汚染水漏洩!! まさに人災、世界の海を汚して国際的批難!?

ついにやってしまった、汚染水の垂れ流し。政府や東電は“低濃度”と説明したが、基準値の100倍の放射能汚染水、それも11500トン。当然、世界中から猛批判と落胆の声。さらに恐るべきは貯蔵限界寸前にある基準値の750万倍の高濃度汚染水、その量は6万トンを超え、その処置方法もわからぬまま、冷却のための連日の放水で一日当たり600トンが高濃度汚染水となって増えているのだからたまらない。この先、高濃度汚染水もいつ放水してしまうかわからない。もはや日本近海の魚は、どれも安全とは言えなくなった。もう寿司、喰えないぞ。

10の分岐点
あと何年!! 原発問題解決に、いったいどれだけかかるのか!?

チェルノブイリでは「石棺」を作ったが、その理由は隣接した他の原子炉をそのまま使い続けるため。軍事大国の威信をかけた手荒な事故処理は、液体窒素を噴射して冷却、鉛や粘土をかけて、10日間で収束、「石棺」作りには延べ80万人を動員した。それに比べて、全く収束の兆しが見えない福島原発、東電スタッフ約400人が決死の作業を続けるが、収束に1年近くを費やせば、放出放射能量でチェルノブイリを追い越す可能性も。廃炉を宣言しても封じ込めまでは、30年はかかる見込み。その間も放射能が漏れ続けるかと思うと目眩がする。

11の分岐点
新たな鎖国!! 放射能に冒された「メイドインジャパン」の未来!?

ここ数年、世界的な日本ブームが吹き荒れていたが、この原発事故をきっかけにその人気にも陰りが。中国を始め、アジア諸国からの不信感は高く、空港では日本人とわかればガイガーカウンターで調べられ、放射能反応があれば入国拒否をされることも。食べ物ばかりか、家電や自動車まで放射能検査の対象にされている。あえて、ポジティブ・シンキングで望むなら、放射能といっしょに暮らさなければならないなんて、日本は最もエッジな未来に生きているといいたいところだが、誰も望まない“未来”で新たな孤独(鎖国)に陥ることになるのか、涙。

[子供にもわかる原発事故:原発くん&プルト君]
◆今回の原発報道では、「難しくてわからない」「危険か、安全か、どっちなんだ」という声がよく聞かれた。「シーベルト」「ベクレル」「キュリー」と単位もいろいろ、「ベント」「トレンチ」「ホールボディカウンター」など、専門用語のオンパレードで、最も知りたい情報が見えにくくなっているのだ。そんな状況で、強く支持されたのが、メディア・アーティスト八谷和彦がYouTubeにアップした「おなかがいたくなった原発くん」。「格納容器」を「オムツ」、「ベント」を「おなら」、「放射性物質」を「うんち」に例え、子供にもわかるように事故後の対応を説明した。だが、今や状況は、4人の原発くんたちが、下痢やオシッコを穴の開いたオムツから垂れ流しているあり様だ。一方、東電制作の「プルト君」を観れば、子供でも東電のウソが丸わかり、「プルトニウムは食べても安心」って、そんなわけないだろ! ウソはいけませんよ、東電さん。

[3.11でわかったこと、わかってしまったこと]
 もういいかげん、おかしいと思うことについては、「おかしい!!」と声を上げなければ、どうにもならない。今回の大災害は、日本が戦後60年間かかえてきた問題を浮き彫りにしている。フリージャーナリストの上杉隆は、今の日本の状況を「敗戦」と綴った。もし仮に、これが他国、例えば北朝鮮の核攻撃だったらどうだろう。たった一撃で国家は大混乱、政府はその対応に四苦八苦という体たらくではなかったか。
 災害をひとつの政変と捉える、超ポジティブシンキングな本、レベッカ・ソルニット『災害ユートピア』によれば、災害のとき、国民は自然に連帯し立ち直ろうとするが、得てして、それを阻むのは権力者やエリートであるという。彼らこそ、災害によって自分たちが築いてきたものが、すべて失われてしまうのではないかとパニックに陥るのだ。確かに、311のときの菅は、911のときのブッシュであった。不人気のどん底にあって、未曾有の震災に乗じて人気回復と、自分の任期延長を目論んで判断を誤ったのだ。
 さらに、日本におけるマスメディアの欺瞞も暴露された。今回、ソーシャルメディアがどれだけの人の命を救ったことか。本当の変化は、まさにこれから起こるべきなのである。復興とは、震災前の状態に戻ることではなく、次なる時代を作り上げることなのだ。出口なしの原発事故、お先真っ暗な現実を凝視せよ。その向こうにしか生きる道はない。

[スリーマイル島原発事故]
〈when〉1979年3月28日 〈where〉アメリカ・ペンシルバニア州スリーマイル島原子力発電所〈what〉原子炉冷却機能喪失事故〈INES level〉レベル5〈why〉加圧水型炉(PWR)の冷却水ポンプの故障に始まり、運転員が緊急炉心冷却システム(ECCS)を止めるなどの人為的なミスが重なり、原子炉の空だきで炉心溶融(メルトダウン)となり、安全弁が開き、放射性物質を含む蒸気が外に漏れた状態となった〈how〉数千人の周辺住民が避難、約2時間20分で冷却機能が回復し、原子炉の暴走は収束に向った〈the day after〉放出された放射性物質は希ガス(ヘリウム、アルゴン、キセノンなど)が大半で250万キュリー、ヨウ素は15キュリー、セシウムは検出されなかった。この事故による直接の死亡例は報告されておらず、原発から8km圏内の住民の平均被曝量は0.08ミリシーベルト。最大でも1ミリシーベルトを超える者はいなかった〈social reaction〉事故当時、公開中であった原発事故を扱った映画『チャイナ・シンドローム』が大ヒット、反原発運動を大きく後押しした〈now〉事故を起こした炉は約12年の歳月を掛けて廃炉に。事故以降、アメリカでは原発の新規発注が長くストップされていたが、オバマ大統領が「地球温暖化」を理由に原発政策を再開、現在米国内に104基ある原発はさらに増える見通しとなっている。


[チェルノブイリ原発事故]
〈when〉1986年4月26日〈where〉ソビエト連邦(現:ウクライナ)のチェルノブイリ原子力発電所4号炉〈what〉炉心溶融(メルトダウン)による水素爆発で、大量の放射性物質が放出された史上最悪の事故〈INES level〉レベル7〈why〉操業休止の実験中に制御不能となり、原子炉大爆発、格納容器がなかったために原子炉内の放射性物質およそ10トンがそのまま大気中に放出され、北半球全域に拡散した〈how〉30km圏内の住民約13万人が移転させられ、ヘリコプターから約5000トンの鉛を投下、液体窒素の投入で、10日後に収束〈the day after〉周囲30kmが居住禁止となり、また約350kmの範囲内にホットスポット(極地的高濃度汚染地域)が点在し、農業や畜産業が禁止。当時政府の発表では死者数は、運転員・消防士を合わせて33人だが、4号炉をコンクリートで封じ込める「石棺」作りには、延べ86万人の労働者が動員され(14年目の追悼式での調査で)5万人以上が死亡していた。周囲住民の幼児・子供などの甲状腺癌の発生が顕著で、若年層における白血病や癌の死亡率も高い〈social reaction〉原発事故についての政府の情報隠蔽に対し、国民の不信が募り、91年にはソビエト連邦そのものが崩壊した〈now〉チェルノブイリ原発の残り3基はその後も操業を続け、2号炉は火災が原因で91年、1号炉は96年、3号炉は2000年に停止された。「石棺」は応急措置で、耐久年数が30年とされ、老朽化に伴う放射性物質漏洩が危ぶまれている。そのため、「石棺」の上をすっぽりと覆うように可動式のアーチ(NSC)を建設するシェルター構築計画(SIP)があるが、そのための膨大な費用と労力をどう捻出するのかについては不透明で計画そのものはあまり進展していない。ロシアとなってからも原発政策には熱心で、国内の原発は32基、さらなる新規計画も進行中という。

[反原発を唱えても残る放射性廃棄物問題]
フィンランドに建設中の高濃度放射性廃棄物処理施設「オンカロ」にカメラが侵入。マイケル・マドセン監督のドキュメンタリー『10万年後の安全(INTO ETERNITY)』によれば、使用済み核燃料を完全に無害な状態にするには水中での冷却状態で10万年は待たねばならないという。そんな危険はものを未来の人類に引き継いで大丈夫なのか。福島原発事故の教訓から原発撤廃へと動いても、すでに生み出した放射性廃棄物の処理に途方もない時間がかかることに愕然とする。

文・ケロッピー前田


Formalin_scape


"Radiation" ラディエーション August 2011

I got offer from Switzerland's gallery "galerie Medamothi"
about the group exhibition "Issue Immediate" in August, which is dedicated to the Japanese disaster. This work taken from "Formalin Scape" series of my work, is the same image on Switzerland's exhibition. This is "the landscape" made from (my own) human skins.

スイスのギャラリー "galerie Medamothi"より、震災に見舞われた日本に捧げるグループ展"Issue Immediate"(2011年9月〜12月開催)のオファーをいただきました。この作品は、その展示に出品したものです。「ホルマリン・スケープ」のシリーズからのもので、ホルマリン漬けにされた(私自身の)人間の皮膚による“風景”です。

ケロッピー前田展"Formalin Scape"ホルマリン・スケープ
~1万年後のためのスキン&ブレイドの風景~
a landscape of human skin and blade for 10.000 years and beyond

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