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2019年11月

2019年11月 7日 (木)

11月11日、『ケロッピー前田&持田保のクレイジーミュージック探訪 ~ ウィリアム・バロウズ & ブライオン・ガイシン 編』 のお知らせ!

カウンターカルチャーの深淵を狂気音楽で覗く、DJ&トークイベント「クレイジーミュージック探訪」の次回開催が迫っております!!

『ケロッピー前田&持田保のクレイジーミュージック探訪 ~ ウィリアム・バロウズ & ブライオン・ガイシン 編』 

OPEN 18:30 / START 19:30  

前売(Web予約)¥1,500 ※予約がお得です!!

当日¥2,000(+要1オーダー 500円以上)

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ビートからパンクへ、世代を超えてカウンターカルチャーのカリスマだったウィリアム・バロウズ

90年代サブカルの地下水脈としてのバロウズ

 『バースト・ジェネレーション Vol.2』(東京キララ社)では「90年代サブカル」を特集したが、その編集作業の過程でウィリアム・バロウズの影響力の大きさをジワジワと痛感させられることになった。まず、ここでいう「90年代サブカル」とは、日本の出版業界において、90年代後半に「鬼畜・悪趣味・世紀末」などを売りにした出版物が大いに持てはやされ、ひとつの社会現象となったことをいう。それを代表するものとして、青山正明が編集長を務めた95年創刊の『危ない1号』(データハウス)がよく取り上げられてきた。

 青山正明は、その前書きでイスラムの暗殺集団の首領ハサン・イ・サバー(サバーフ)の言葉「真実はない、すべては許される(原文は”Nothing is true, everything is permitted.”)」を引用して、「妄想にタブーなし」と宣言している。実は、このサバーの言葉をたびたび引用して、カウンターカルチャーの名言のひとつにまで押し上げてきたのが、ウィリアム・バロウズである。さらに青山正明の『危ない1号』でメインライターを務め、自ら「鬼畜」を名乗っていたのが村崎百郎であった。村崎は「90年代サブカル」のスターとして君臨するが、2010年に読者を名乗る男性に刺殺されるという衝撃的な事件が起こる。ちなみに、2001年には青山正明が自死している。

 追悼本に当たる『村崎百郎の本』(アスペクト)では、村崎百郎の正体がペヨトル工房の編集者であった黒田一郎であることが明かされ、さらに彼が同出版社から刊行された山形浩生によるバロウズ翻訳本などを担当者であったことも記されている。90年代サブカルの地下水脈を辿ると、バロウズの影が見え隠れして仕方がないのだ。

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バロウズとは何者か?

 そんなサブカルファンのために、11月11日@ロックカフェロフトにて行われる「クレイジーミュージック探訪」にて、ウィリアム・バロウズを特集する。1980年代以降、ポストパンクのカリスマとなった晩年のバロウズの活躍ぶりを貴重な音源を聴きなら振り返るDJ&トークイベントだ。

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 ウィリアム・バロウズは、1914年生まれ、アメリカの名門ハーバード大学を卒業するが定職に就かず、ドラッグに溺れていく。また、早くからゲイを公表し、一時期パートナーでビート文学の詩人アレン・ギンズバーグの助けもあって、『ジャンキー』(53年)で小説家デビュー。しかし、その前年には実弾を用いたウィリアムテルごっこで妻(ゲイだったが献身的な妻がいた!)を撃ち殺してしまっていた。裁判中に国外逃亡し、モロッコのタンジールで画家ブライオン・ガイシンと出会い、彼とともにパリのビートホテルに移り、59年には麻薬中毒の日々を悪夢的なコラージュ小説『裸のランチ』がパリのオリンピアプレスから発売される。この作品はアメリカでは猥褻物指定を受けるなどしたことから注目され、ビート文学でのひとつの地位を獲得する。その後、バロウズはガイシンから絵画のコラージュ技法を文芸や音響実験に応用する「カットアップ」を学び、バロウズ自身も小説執筆にその技法を導入する。そこからカットアップ三部作『ソフトマシーン』(61年)『爆発した切符』(62年)『ノヴァ急報』(64年)が生まれている。

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Brion_gysin ブライオン・ガイシン

Brian_jones_presents_the_pipes_of_pan_at ブライアン・ジョーンズ、モロッコのタンジールでジャジューカを現地録音

 バロウズ晩年の再評価は、1974年にニューヨークに移ってから。78年には、バロウズがジョン・ケージやティモシー・リアリー、フランク・ザッパらと同席する形で「ノヴァ・コンベンション」が開催され、カウンターカルチャーのカリスマとして脚光を浴びるきっかけとなる。1980年代以降、バロウズはパンク以降の音楽シーンに大きな影響を及ぼし、ジェネシス・P・オリッジ、オーネット・コールマン、ローリー・アンダーソン、ビル・ラズウェルら、新たな創作技法を模索していたミュージシャンたちに支持され、また彼らとバロウズのコラボレーション作品も多く生み出されていく。そこでは、バロウズの世捨て人的な快楽主義的ライフスタイルがパンクな生き方のひとつの理想とされ、虚実が入り混じる行動様式も模倣された。そして、バロウズ自身がその生き方を一言で表現したのがハサン・イ・サバーの言葉「真実はない、すべては許される」であった。

 バロウズを取り戻せ! そして、ただひたすらに生き残れ!

F0004532_5121251デヴィッド・ボウイとも共演

『ケロッピー前田&持田保のクレイジーミュージック探訪 ~ ウィリアム・バロウズ & ブライオン・ガイシン 編』 

11月11日(月)OPEN 18:30 / START 19:30  前売(Web予約)¥1,500 ※予約がお得です / 当日¥2,000(+要1オーダー 500円以上)

『バースト・ジェネレーション Vol.2』販売もあります!!

9784903883472“Nothing is true, everything is permitted(真実はない、すべては許される).”

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2019年11月 3日 (日)

大島托 × ケロッピー前田「縄文族 JOMON TRIBE 2」11月15日 (金) – 12月1日 (日) @阿佐ヶ谷TAVギャラリー 開催のお知らせ!!

3年ぶりに、縄文時代のタトゥー復興プロジェクト「縄文族 JOMON TRIBE」が戻ってきます!!

「縄文時代にタトゥーはあったのか?」という問いに、実際に現代人の身体にタトゥーを彫り込むことで実践的に返答しようというアートプロジェクト。

今回はさらに「文様のはじまりは土器か、タトゥーか?」と問いかけ、文様を通じて、人類の起源やその世界拡散、さらに文化の発生と伝搬にまで思いを馳せ、過去の文様をタトゥーとして現代に復興し、それを未来へと届けるという大胆な試みの全貌が明らかとなる。

「縄文族 JOMON TRIBE」の新作展覧会にご期待ください。

大島托 × ケロッピー前田「縄文族 JOMON TRIBE 2」[ 11/15 (fri) – 12/1 (sun) ]

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大島托 × ケロッピー前田「縄文族 JOMON TRIBE 2」[ 11/15 (fri) – 12/1 (sun) ]

【展示情報】 名称 : 大島托 × ケロッピー前田「縄文族  JOMON TRIBE 2」

会期 : 2019年11月15日(金)- 12月1日(日)

会場 : TAV GALLERY(東京都杉並区阿佐谷北1-31-2)[03-3330-6881]

時間 : 13:00~20:00

休廊 : 11月20日(水)、11月21日(木) 、11月27日(水)、11月28日(木)

レセプションパーティ : 11月15日(金)18:00 – 20:00

縄文タトゥーパフォーマンス: 11月16日(土)17:00 – 18:00

アーティストトーク : 11月16日(土)18:00 – 19:30 (1,000円ワンドリンク)

出演:大島托 × ケロッピー前田/ゲスト:松山賢(美術家)

縄文タトゥーパフォーマンス: 11月30日(土)17:00 – 18:00

アーティストトーク:11月30日(土)18:00 – 19:30 (1,000円ワンドリンク)

出演:大島托 × ケロッピー前田/ゲスト:黒瀬陽平(美術家、美術批評家)

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【アーティストプロフィール】

大島托(Taku Oshima)  www.apocaript.com

1993年に世界一周の夢を抱き、最初に訪れたインドでタトゥーと出会い、その後にプロの彫師となる。黒一色の文様を刻むトライバル・タトゥーおよびブラックワークを専門とし、ポリネシア(タヒチ、ニュージーランドなど)を始め、ボルネオのイバン族、カリマンタンのダヤク族、スマトラのメンタワイ族、インドのナガ族など、世界各地に残る民族タトゥーを現地に赴いてリサーチし、現代的なタトゥーデザインに取り入れている。

1970  福岡県生まれ

1993  亜細亜大学国際関係学部卒業

2011  ボルネオ “Gathering of tribes” 特別感謝賞受賞

2015  ネットコンテスト “Polynesian Tattoo Awards” 1月期、5月期、7月期最優秀賞受賞

ケロッピー前田(Ryoichi Keroppy Maeda)  keroppymaeda.com

90年代半ばから雑誌『BURST』などで世界のカウンターカルチャーをレポート、現在もそのドキュメントを続ける。身体改造ジャーナリストとしてテレビメディアにも出演し、その最前線を幅広い視聴者にアピールしてきた。また、写真家、アーティスト、キュレーターとしても国内外で作品展示を行っている。主な著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。NPOヒューマンビーイングクラブ理事。

1965  東京都生まれ

1989  千葉大学工学部卒業

主な展示

2018  キュレーション「Nach Fukushima」HfG(フランクフルト、ドイツ)

2013  キュレーション「死と未来」Vanilla Gallery(東京)

2012  個展「RE-SHAPED」Robert Mayer Zeigt Galerie(フランクフルト、ドイツ)

2009  個展「Extreme Body Modification in Japan」The Body Archive Gallery(NY、アメリカ)

2005  個展「身体改造★鮮血の美」Vanilla Gallery(東京)

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2019  グループ展「MID CORE」TAV Gallery(東京)

2017  個展「JOMON TRIBE」HfG(フランクフルト、ドイツ)

2017  グループ展「ARTs of JOMON」ISETAN THE CUBE (クアラルンプール、マレーシア)

2016  個展「縄文族 JOMON TRIBE」TAV Gallery(東京)

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ステートメント】

 『縄文族 JOMON TRIBE』とは、タトゥーアーティストの大島托とフォトグラファーのケロッピー前田によるアートプロジェクトである。

「縄文時代にタトゥーはあったのか?」

 いまだに答えの出ない太古の謎に、私たちは実際に現代人の身体にタトゥーを彫り込むことで実践的に返答しようと試みている。

 たとえば、1969年に考古学者の高山純は『縄文人の入墨』を著し、縄文時代の土偶にみられる文様はタトゥーではないかと指摘した。また縄文時代とタトゥーが関連づけられるもともとの根拠は、『魏志倭人伝』に日本人が文身(タトゥー)をしていた記述があることによる。

 このプロジェクトは縄文の文様を抽出し現代的なタトゥーデザインとして身体に刻むことで、人類の原始的な精神が21世紀を生き抜くためのアイデンティティとなり得ることを示している。

 約一万年前の文様から創造する縄文タトゥーの世界。そこに映し出されるビジョンは単に過去を再現するということにとどまらず、現代人の身体を用いて、縄文文様をさらに未来の一万年後にまで届けようという野心的な挑戦である。(ケロッピー前田)

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