ゴム

2012年4月 1日 (日)

なぜ全身を包まなければならないのか!? 日本で動き出したラバーマニアの“NEW WAVE”

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「ラバーはもっと変わっていいんですよ。素材の特質を生かしながらも、それまでのイメージをどんどん壊していっちゃっていい」
 そう語るのは、日本のラバーアーティストとして注目の「Kurage」こと、Kid'O氏。ここ数年、日本のラバーが動き始めているのはまさに彼の活躍によるところが大きい。
 海外でのラバー愛好は、第二次大戦中、ガスマスクやラバー製雨具に全身を包んで戦争体験をした世代から始まったという。限界状況の戦場で息苦しいマスクやラバーに全身を包まれながら、兵士たちは何を思ったのだろうか。往年のマニアたちが開眼した“ラバーの快楽”を、若い世代が再発見するのは80年代、ラバーは「フェティッシュ・ファッション」として脚光を浴び、映画に登場したダースベイダーやバットマンなどの人気とあいまって、瞬く間に世界的に認知されるものとなった。
 また「フェティッシュ・パーティ」と呼ばれる「ドレスコード(服装規約)」を設けたイベントが盛んになり、90年代には日本にも上陸した。しかし、ラバーが単なるコスプレになってしまうと、その本質からは離れていく。それぞれの愛好者の身体サイズに合わせ、完全オーダーメイドで作られなければ、真の“ラバーの快楽”は味わえないのだ。
「男でも女でもない、人間でない生物。そんな存在に身も心も変貌したい。そのためには、ぴったりフィットしたラバーで全身を包み込むことが重要なんです」
 「家畜シリーズ」の“牛”を始め、空気で膨らませるインフラタブルな自作ラバースーツを手掛けるサエボーグ嬢が解説してくれた。彼女の呼びかけによって、日本全国のラバーマニアたちが集結、今年5月には東京アンダーグラウンド・パーティの老舗「デパートメントH」でラバー大会も開催されている。
 確かに動くゴム人間たちの姿は、観る者をも異界へと誘う。ラバーにおける日本からの“新しい波”、世界も注目するシーンの動向にますます期待したい。


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【高いポテンシャルで日本ラバー界を牽引、池袋ラバー専門ショップ「Kurage」の正体】
◆5年前、池袋にオープンしたラバーショップ「Kurage」は、「オーダーメイドのみ」「従来のイメージから自由に」をモットーにポップで印象的なオリジナル・デザインが魅力、それでいてマニアも唸る細部の加工が人気の秘密だ。デザイン制作を手掛ける「Kurage」こと、Kid'O氏は、今や世界的に注目されているほど、ラバーの“新しい波”は日本からという意気込みが、作品ひとつひとつから滲み出ているのが凄い。

【なぜ動物? なぜラバー? なぜインフラ? 「全く別の生き物になりたい」ラバリスト・サエボーグの問題提起】
◆サエボーグ嬢は、空気で膨らませるインフラタブル・ラバースーツを制作し、自ら着るラバリスト。思春期は同人誌3万冊買い漁っている「腐女子」、フェティッシュ・バー勤務を経てラバーと出会った。性差や自分に対するコンプレックスを全身を包むラバーで乗り越えることを目指し、“牛”を始めとする「家畜シリーズ」の制作に勤しむ。同時に、日本のラバーマニアたちのまとめ役としても活動する、希有な存在である。


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【日本全国からラバーマニアが集結! ゴムのパワーが世界を変えるか】
◆「なぜ今、ラバー?」という疑問はマニアたちの本気な姿を見れば吹き飛ぶだろう。彼らは今まで、その姿を公にさらす機会が稀だったし、その願望を具現化するラバースーツを「作る」ことができるアーティストにも巡り会っていなかった。「Kurage」の登場で明らかに日本のラバーに“新しい波”が押し寄せた。そのきっかけを作ったサエボーグ嬢もまた「Kurage」の指導のもと、自作ラバースーツという新たな道を歩んでいる。

[日本のラバー流行と現在]ラバーの流行は世界的には80年代、「フェティッシュ・ファッション」として脚光を浴びた。90年代、日本にはSMブームとともに上陸、「ドレスコード(服装規約)」ありの「フェティッシュ・パーティ」の定着で市民権を得た。しかし、ラバーマニアは少数派、近年、海外ブランド追従から国内オーダーへと転換して、日本ならでは独自色が出始めている。

毎月第一土曜日「デパートメントH 」@鴬谷・東京キネマ倶楽部
→ 2012年5月5日(土)「デパートメントH 」は「ゴムの日」にちなんで恒例ゴム大会!!

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